「自分から勉強する子」は「学ぶことを学んでいる」

明けましておめでとうございます。
学びスタジオの奥川悦弘です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は、「学ぶことを学ぶ」ことについて書きます。

∴学びを重視するなら「適切なレベル」に固執しない

子どもの年齢にあったレベルの本を読んでもらいたい。
読書で挫折(ざせつ)してほしくない。
読書は学びになるものであってほしい
と願います。

しかし、
ルールに固執しすぎると、
子どもたち一人ひとりの視点や関心、
を尊重することを忘れてしまいます。

ある子どもにとっては挑戦したくなる本でも、
別の子はそれで挫折してしまうかもしれないのです。

だから、
レベルにこだわるよりも、
子どもが興味を持つ本や話題や目標を選ぶよう心がけることが大切です。

∴娘が選んだ本

ある日の図書館でのことです。
8歳の娘が本を選んで持ってきたので、
「難しすぎないか、チェックしてみよう」
と私は言いました。

「5本指ルール」を試すことにしました。

そのルールは、
知らない単語が1ページに5個あれば、その本はおおよそ適切なレベル。
6個以上あれば難しすぎる。
知らない単語が1つもなければ簡単すぎで、たいして学びにならない
というものです。

「1つの段落だけで5個も知らない単語がある」と娘が言いました。

「他のを探しましょう」と私が言うと、
「これがいいの」と娘が譲らないので、
好きにさせました。

夜が来るごとに、
娘はその本を持ってきました。
難しい言葉にぶつかるたびに、
私が読むのを手伝いました。

「レベルに合ってないんだよ」と言っても、
娘は「別にいいもん」と、

何週間か読み続けましたが、
一晩に2ページ以上進むことはありませんでした。

「もっと合った本を探さない?」と私は何度も聞きいても、
「イヤ」と、

その頑(かたく)なさには、
私もお手上げでしたが、

読み進めるうちに、
娘はあまりつっかえなくなり、
「ここ、おもしろいよね?」
といった感想をもらすようになりました。

私の助けを必要とすることも減り、
「100ページもあるんだよ! 本当に難しい本なんだよ」
と誇りも芽生えてきました。

難しい本をコツコツと読み切った効果が現れたのです。

∴最善の選択は子どもによって違う

この本を選んだことは
最善の選択だったのでしょうか? 
そうではないかもしれません。
しかし、
それが娘自身の決めた目標でした。

「難しすぎる」本を読むという選択は、
娘の性格と「自分の能力を証明したい」という娘の願望に合っていました。

それに、
親子で会話をしたおかげで、
その読書が娘にとって大きなストレスや重荷になっていないかを、
一緒に確認できました。

だから、
もしストレスになっていれば、
いったんその本から離れることも可能でした。

ルールを無視して、
子どもの読みたがるものをなんでも読ませればいい、
ということではありません。

読書でも学びでも、
ルールはひとつのガイドラインととらえるべきで、
子どもに合わせて変えていいのです。

∴娘の本を見る目が変わる

その一件があってからしばらくすると、
娘は本の難易度を前よりも見分けられるようになってきました。

ある本を開いたときは「ちょっと難しそうだけど読めると思う」、
別の本を開いたときは「あまりにも難しすぎる」といった具合にです。

その娘の感想をきっかけに、
私は読むべき本についてともに話し合い、
娘の判断をさらに明確にしながら、
その判断が正しいものかどうかを考えさせました。

たとえば、
「難しい言葉がところどころにあるけど、あなたなら読めると思うよ」
と言うこともあれば、
逆に
「その言葉が出てくるってことは、高校生向けだから、やめときましょう」
と言うこともありました。

∴「学び方を学ぶ」には会話が有効

こうして会話を通じて試行錯誤を続けることが、
学び方を学ぶには、有効であることがわかりました。

会話をすると、
「自分の思考について思考するスキル(これを「メタ認知」という)」が伸びます。

このメタ認知というスキルが伸びると、
自分の知っていることと知らないことを認識できるようになります。
そして、
どの部分を他者に助けてもらうべきで、
どうしたら助けてもらえるかがわかるようになります。

失敗にめげず首尾よく学び続けるためには、
このメタ認知が重要です。

さらに、
見通しを立てて課題を実行するスキルを身につけるうえでも、
さらに大きな効果を発揮します。

課題の対処方法を事前に考える子どもは、
計画を立てて経過を自己監視することを学びます。

メタ認知的に思考するとき、
子どもは学びの状況と自分の気持ちを常に監視しています。

そして、
うまくいかないときややる気が出ないときは、
立ち止まり、修正を加えます。

そうやって状況を俯瞰(ふかん)すると、
次にやることも決めやすいし、
注力すべきポイントも見えやすくなります。

これは、
自立心が高まり、
学習意欲を高める必要がある大きな子どもにとって、
特に重要なことになります。

∴まとめ

子ども一人一人と年齢相応のレベルに囚われずに
勉強や読書について会話を続けていくことは、
子どもが自分の考えていることを考える機会になります。
それは「学ぶことを学ぶ」ことにつながり、
分かることと分からないこと、
自分でできることと助けが必要なことが明確になり、
「自分から勉強する子」になっていきます。

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