読み聞かせの目的は"絵本って楽しい"
正しい言葉の使い方を覚えるための原点は、”絵本は楽しい”にあるのかもしれません。
❤︎読み聞かせる絵本を選ぶ際には、注意点
「子どもたちにこんなメッセージを伝えたい」とか
「子どもに役立つテーマの絵本を選ばなくては」……
絵本選びにいろいろなことを考えます。
しかし、重要なのは
「絵本って楽しいね」
「絵本を読んでもらうのってうれしいね」
という気持ちなんです。
読み手と聞き手が、テーマやメッセージよりも、まずは楽しさを"共感する"ことが大切です。
❤︎具体的にはどのような絵本
親(読み手)が「好きだな」「読みたいな」と思う絵本を選ぶことが大切です。
自分のなかに好きな絵本をストックしていって、子どもの成長にあわせて選ぶことができるといいですね。
「この絵本を読みたいな」
「読んであげたいな」
という読み手自身がウキウキするような気持ちが大事です。
❤︎年齢別の絵本選びのポイント
⓪0歳。楽しんで発音できる両唇音を
❤︎ボール紙でできている・角が丸くなっている
0歳児に向けては、ボードブックといって、分厚いボール紙で作られている絵本がとくにおすすめです。
赤ちゃんに配慮したつくりになっていて、角が丸く加工されています。
❤︎擬音語・擬態語(オノマトペ)がたくさん用いられている
言葉が未発達なので、赤ちゃんが楽しめる、そして言いたくなるような音を使っているかどうかも、0歳の赤ちゃんに絵本を選ぶ際には大切なポイントです。
❤︎両唇音がたくさん用いられている
「まみむめも」
「ばびぶべぼ」
「ぱぴぷぺぽ」といった、
上下の唇をあわせて発音する音を「両唇音(りょうしんおん)」といいます。
この両唇音は、赤ちゃんが初期に獲得できる音で、楽しく発音でき、思わず言いたくなってしまう音なんです。
ですからそういった音がたくさん出てくる絵本であれば、赤ちゃんも一緒に楽しむことができるでしょう。
❤︎身近なものを扱っている
赤ちゃんの世界は、大人と比べてとても狭いです。
外出するのも近くの公園まで、家で目にするものも、天井や家族の顔ばかり……。
だからこそ、赤ちゃんにとって身近なテーマを扱った作品を選ぶということも、ひとつのポイントですね。
❶1歳。子どもたちのブームにあわせて
1歳の頃には、子どもたちができることが、どんどん増えていきます。
その"発達"にあわせて、あるいは子どもたちのなかで、いま"ブーム"になっていることをもとに、絵本選びます。
たとえば、
"ジャンプができるようになって、楽しくてたまらない"
そんな子どもたちには、ページをめくるたびに、さまざまな動物たちが飛び跳ねる絵本とか
子どもたちをよく観察していると、
今どんなことに興味があるのか、
どんなことが流行っているのかがわかりますから、
それを絵本選びに活用してみます。
❷0歳から2歳。絵本選びは親子のかかわりが大切!
2歳になると、ちょっとしたストーリー性のある絵本も楽しめるようになってきますが、
0歳から2歳までの絵本選びでは、
共通して"親子のかかわり"が重要なポイントだと考えています。
❤︎『ぶう ぶう ぶう』(講談社)
この絵本は、おーなり 由子さんと、 はた こうしろうさんのご夫婦が、子育てが大変ななかで、
子どもの体に「ぶう」とするだけで笑顔の時間ができたご経験から生まれたそうです。
今は子育てが"しんどい"時代だと思いますが、そんななかで絵本は
「これだけでいいんだよ」
「こんなことをするだけで一緒に楽しめるんだよ」と、
子どもとのかかわりを提案してくれます。
❸3歳。絵本に向かう力がでてくる
3歳になると、"絵本に向かう力"が出てくる
そんななかで絵本を選ぶときには、子どもたちが理解しやすいように、できるだけシンプルな絵本を選ぶとよいでしょう。
"繰り返しのパターン"を用いた絵本はおすすめです。
シンプルな言葉や展開が繰り返される絵本は、ページをめくるたびに楽しみがあるので、子どもが「次はどうなるんだろう?」という気持ちを、最後まで持ち続けることができます。
❹4歳。絵本に夢中になるパワーが付いてくる
4歳になると、子どもは絵本にぐっと引き込まれるようになります。
4歳の読み聞かせでは、
絵に見入ったり、ストーリーの展開にワクワクしたり……
より"じっくり味わえる"内容の絵本を取り入れます。
❺5歳。長くなければダメということはない、楽しさを
5歳児は理解のスピードも早いので、昔話のようなボリュームのある絵本も楽しめるようになります。
長いストーリーを、何日かにわたって読んであげるのもいいですね。
❤︎長いお話、集中力より、楽しさを
ただ、
年長さんになったから、長いお話でなくてはならない
小学校にあがるから、長いお話に慣れさせなくてはいけない
ということはありません。
集中力をしっかり身につけて欲しいなどと考えがちなのですが、
まずは「絵本の楽しさ」というところを大切に考えるようにしましょう。
また、だじゃれやさかさま言葉、早口言葉といった言葉のおもしろみを楽しむことができます。絵本を通じて、そのような言葉遊びを楽しむのもおすすめです。
『だじゃれどうぶつえん』(絵本館)
『はやくちこぶた』(瑞雲舎)…
❤︎教えるのではなく、わかるようになったから"楽しもう"と考える
「ひらがなを教えよう」
「言葉を教えよう」と強くて考えてずに、
「言葉の楽しさがわかるようになってきたから、この絵本を読んで一緒に楽しもう」
という提案をしてみてください。
そして、
絵本を通じて「言葉って楽しいね」ということを、子どもに伝えるのが一番です。
❤︎読み聞かせの前の環境づくり
よく絵本を読むまえに
表紙の次のページの"見返し"を見せることで、少しの間が生まれます。
そこで子どもたちは「さあ、はじまるぞ」と気持ちを落ち着けることができます。
❤︎"見返し"にも意味が
絵本によって、
絵が描かれていたり、
単色だったりと
さまざまな"見返し"
実は物語に関連した色が使われているなど、大切な意味が込められています。
だから"見返し"は、
絵本が読み聞かせをする前の
「今日はどんなお話かな、楽しみ」
という環境作りになります。
❤︎まとめ
読み聞かせと絵本選び
絵本を楽しむことが、一番の目的です。
そして、
絵本が与えてくれる"親子ふれあい"や"親子の関わり"を大切にしてほしいと思います。
"絵本の読み聞かせを楽しめる"ことが、
言葉に興味を持ち、
言葉を大切にして、
正しい言葉の使い方を覚えることにつながると思います。