子どもの発達の順序を知って、子育てを楽しもう
こんにちは学びスタジオ代表の奧川えつひろです。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は、子どもの発達の順序について書きます。
▲子どもの発達の順序を知ることで、子育てを楽しく
子どもの発達に順番を知っていると、
今この段階だから、
わが子は、
こんなことを考え、
行動するんだ。
とわかれば、
子育てや子どもの教育は、
親子共にストレスを感じることなく、
進めることができると思いませんか。
そこで、
ピアジェの発達段階論を紹介しようと思います。
▲スイスの心理学者ジャン・ピアジェ
ピアジェは、
人の知能・心理の発達を
「生物的な成長」と
「成長過程の中で知識・経験を重ねたことによる成長」
の両面から考察しました。
そして、
子どもの認知力(知覚・記憶力・推理力・記憶力・言語能力など)の成長順序は、
個人差はあるものの普遍性があるこのに気づきました。
▲ピアジェの発達段階論
発達とは、
思考と行為の質的に異なるシステムなったときに起こります。
ある段階から次の段階への発達は、
より何かができるということだけではなく、
物事を異なったやり方ですることができるようになったことを意味します。
たとえば、
赤ちゃんはまずハイハイをし、
それから二本足で歩けるようになりますが、
この"歩く"という行為は、
ハイハイの"進展"ではなく、
ハイハイとはまったく異なる"質的に変化した行為"なのです。
▲発達の基本的な4つの仕組み
❶シェマ(認知構造)の獲得:情報を処理する枠組みを持つ
❷同化:新情報を既存のシェマで処理する
❸調節:新情報を既存のシェマで処理できないとき、認知のやり方を変える
❹均衡化:同化と調節によって認識精度を高める
均衡化を繰り返すうちにシェマが変化していくことが発達なのです。
たとえば、
❶赤ちゃんの"吸う"という行為について、
おっぱいを吸ってみたら母乳が飲め、
空腹が満たされた(シェマの獲得)
❷哺乳ビンも吸ってみたらミルクが飲め、
空腹が満たされた(同化)
❸タオルを吸ってみたが何も飲めず、
空腹は満たされなかった(調節)
❹お腹が空いたらおっぱいや哺乳瓶を吸い、
タオルは吸わなくなる(均質化)
このように、
"もう知っていること"と"新しく知ったこと"のあいだでバランスをとることによって、
"発達"が進んでいきます。
▲4つの認知発達段階
❶感覚運動期(0~2才)
吸う・触る・なめる・見る・叩くなどの手段を通じ、
あらゆる感覚を用いて物事を把握しようとします。
外界と接触を持ち、
シェマの土台を持ち始めます。
①循環反応(生後1か月頃)
手に持ったスプーンを何度も落としてみるなど、
繰り返し行動をします。
②対象の永続性を獲得(生後6か月頃)
対象の永続性。
手や布で覆うなどして物を見えなくしても、
物がその場所に存在していると理解できるようになります。
「いないいないばあ」
をとても喜んでくれます。
物が見えなくなっても
そこにあると理解しているため、
再び現れるのをわくわくしながら待てるようになります。
③模倣行動が発達(生後8か月頃)
自分が見たり聞いたりする相手の手の動きや発声をまねできるようになります。
見ることができない自分の表情を、
目の前の相手の表情に近づけることも可能になります。(1才頃)
相手の動作を記憶してあとから模倣する"遅延模倣"や、
リモコンを電話に見立てて耳に当てるような"ふり行為"ができるまで思考が発達します。(1才半以降)
◎この時期は、
”生涯で一番創造的な時期”です。
子どもが”実験”にいそしむ姿を
応援してみてあげましょう。
❷前操作期(2~7才)
○自己中心性
世界を自分の視点からしか見られず、相手の立場で想像できません。
自分が楽しいことは相手にとっても楽しく、
自分に見えないものは相手にも見えていないと思っています。
たとえば、
かくれんぼをするとき、
自分の両目を手で覆って「かくれた!」と思い込んだりします。
○中心化
目立つ部分にばかり意識が向きます。
たとえば、
底面積が広く背の低いコップと、
底面積が狭くて背の高いコップに、
同じ量のジュースを注ぐとします。
すると、
背の高いコップのほうが水面が高くなるため、
そちらの量が多いと思います。
○実念論
まだ、
"主観的世界"と"客観的世界"を明確に区別できていません。
そのため、
サンタクロースや鬼の存在を心から信じるなど、
想像と現実を混同します。
○アニミズム
あらゆるものは命を宿し、
人間のように考えたり感じたりすると思い込みます。
『クマのプーさん』は、
まさに前操作期にあるクリストファー・ロビン少年が、
ぬいぐるみたちと楽しく遊んでいますね。
①象徴的思考期(2〜4才)
たとえば
絵を描くとき、
目の前にない物でも思い出して描けるようになります。
②直感的思考期(4〜7才)
たとえば、
「家は地面から生えたのではなく人間が建てた」というように、
空想ではなく理性によって考えられるようになります。
◎この時期は、
豊かな想像力が特徴です。
おとぎ話のような世界に住んでいる子どもの姿が浮かんできて、
ほほ笑ましいですね。
❸具体的操作期(7〜11才)
”操作”とは、
情報を正しく処理することです。
論理的思考を獲得し始めます。
実際に手を動かさなくても、
情報の処理を論理的に頭のなかで行なえるようになります。
○保存の概念
"保存の概念"を理解します。
たとえば、
容積が同じ2つのコップで、
底の面積が狭くて背の高いコップから、
底の面積が広くて背の低いコップに水を入れ替えても、
「水の量は同じ」だと判断できるようになります。
背の低いコップに移した水を
頭のなかで背の高いコップに入れ戻すという操作ができるようになるので、
どちらの水の量も同じだとわかるのです。
○数の保存
たとえば、
10個のブロックを数えます。
それからそのブロックの積み方を変えて
「全部でいくつ?」と聞くと、
数えることなく「10個」と答えます。
見た目が変わっても
数が変わるわけではないという
"数の保存"の感覚も獲得しているのです。
○脱自己中心性
自己中心的な考え方から脱却し始めます。
コミュニケーション能力が発達し、
共感力が育つことで他人の立場に立ったものの考え方ができるようになります。
◎この時期は、
論理的な思考がどんどん獲得していきます。
❹形式的操作期(11才頃〜)
○形式的演繹
直接的観察から得られた事実からだけではなく、
想定した判断で結論を導き出すことができるようになります。
○抽象的思考・仮定的な推理
物事に筋道を立て、
予測しながら考える論理的思考のほかに、
抽象的思考ができるようになります。
具体的な事象・時間の流れに捉われずに
物事を広い視点で考えることです。
自分で実際に体験したものではなくても、
説明・映像などから具体的なイメージを描くことができます。
◎この時期には、
今までの知識・経験を応用して仮説を立て、
結果を予測して行動・発言することも増えてきます。
▲まとめ。子どもの発達の順序を知って、子育てを楽しく
子どもの発達には順番があり、
❶反射行動を繰り返す感覚運動期
❷自分の視点で模倣をする前操作期
❸存在の意味を理解する具体的操作感
❹抽象的に考えることができる形式的操作期
この順番を知っていれば、
「今はこの発達段階だから、これはできて、からはできなくて当然なんだ」とわかり、
親子ともに、ストレスなく、楽しく成長することができます。