子どもは、ことばの天才
こんにちは、三重県名張市の個別指導塾 学びスタジオの奥川悦弘です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は、ことばについて書きます。
∴子どもの言語獲得の正反対
子どもは、
❶どんな環境でも、
❷誰にも教わることなく、
❸比較的短期間で、
❹能力の差に関係なくみんなが、
❺使えるレベルのことばを身につけることができる
しかし、子どもが成長するにつれて、
❶かなり恵まれた環境で、
❷しっかり教わり、
❸時間をかけて勉強しても、
❹能力の差に応じて、
❺使えるレベルの英語を身につけることができたり、できなかったりする
この違いはなにでしょうか?
同じ人間なのに、
成長するにつれて正反対の現実があります。
その理由は、
成長するにつれて、
間違った学習方法をしているからです。
本来なら、
子どもはことばの天才なのです。
∴言語習得の5つの不思議
それでは、
子どもの言語獲得の5つの不思議について説明します。
❶環境を選ばない不思議
子どもは、
ことばを身につけるために、
ことばの体験をいっぱいしていきます。
外国語の環境に放り込まれると、
その外国語は身につくのと同様です。
子どもは環境を選べないので、
質と量はまちまちですが、
ことばを身につけることができます。
❷"誰にも教わらない"不思議
子どもは、
言語に関する指導を受けないにも関わらず、
ほぼ完全な日本語を身につけます。
❸比較的"短期間"で身につけてしまう不思議
子どもは、
胎児のときにお腹の中で母親の声の質を覚えて、
日本語特有のリズムと日本語の音を生後半年くらいまでに身につけてしまいます。
例えば、
促音と呼ばれるつまる音「っ」や、
二文字分の長さの長音、
「ん」で終わる撥音など、
日本語に特有のリズムや、"かな"を
日本語の音として理解します。
"かな"はかなりユニークです。
例えば「タ行」のチ・ツ(tʃi・tsu)は他のタ・テ・ト(ta・ te,・to)とは子音が異なります。
「サ行」のシも同じです。
それらを「ティ、トゥ、スィ」などとは発音することはありません。
それらの複雑な音のルールも含めた日本語の体系のベースを
わずか2年ほどで身につけてしまいます。
❹能力にかかわらず身につける不思議
外国語習得の場合には、
本人の頑張りも影響しますが、
子どもがことばを身につける段階においては、
本人の能力、やる気、希望などとはまったく無関係で日本語を身につけてしまいます。
❺だいたい同じ質のことばを身につける不思議
教科としての"国語"ではなく、
日常的な会話を聞き取り、
自分から会話に参加できるような次元の基本的な"日本語"の運用力という点では、
申し合わせたかのように、
みな同じレベルの日本語を身につけることができます。
∴すべての子どもは、"ことばの天才"
この5つの不思議から、
すべての子どもは、"ことばの天才"です。
英語で"天才"を意味する ‘genius’ も、
ラテン語の ‘genius’ "天分"から来ていて、
もっと遡ると動詞の ‘gigno’ "産む、産まれる"にたどり着きます。
つまり、"天賦の才"のことです。
すべての子どもは"ことばの天才"という遺伝子を持って生まれてきます。
一般的に様々な才能に関しては遺伝せず、
後天的な環境や刺激で決定されると考えられる傾向にありますが、
ことばを身につけることに関しては、
親から子へ、
遺伝子情報としてすべての人間に受け継がれているのです。
ヒトだけが進化のどこかの段階で、
ことばを使い身につけるプログラムを獲得したのです。
∴ことばを身につける能力は、言語を問わない
日本語でも英語でも、何語であっても、
ことばである限りは、
小どもはそのことばを身につけられます。
さらに、
ことばを身につける遺伝子は“母国語”以外にも及びます。
欧州の人間が複数の言語を身につける遺伝子を持っていて、
日本人は日本語のみに作用する遺伝子を持っているということではありません。
ヒトは“育つ環境にあることばを身につけなさい”
という遺伝子を持っているだけなのです。
∴まとめ。子どもは、ことばを習得できる“ことばの種”を持っている
“ことばの種”を、
全ての子どもが持っています。
その種が、
“ことばの環境”という栄養を受け取ると、
言語の習得へと育っていきます。
新しい言語を習得するために
子どもが持っている“ことばの種”を成長させる
理想的な“ことばの環境”とは何でしょうか?
その環境とは、
母親からの優しい語りかけ、
続いて父親や母親など家族の穏やかで楽しい会話です。
そして、
絵本の読み聞かせと
音楽に合わせたことば(歌)を聞くことです。
さらに、
話しを聞いてもらえる環境です。
これらのことをヒントに言葉の学習する環境を考えていきたいと思います。