「すべて」と「ある」の言葉のあいまいさが数学でつまずく原因になる
こんにちは、四谷大塚NETフォーラム塾上本町教室塾長・学びスタジオ®代表の奧川えつひろです。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は、「すべて」と「ある」について書きます。
❤︎allのsomeを使い分ける英語
英語を話す国では、
allと
some
の使い方を身につけながら育ちます。
❤︎「すべて」と「ある」にあまり注意が払われない日本語
「すべて」と
「ある」の用法について、
日本語ではあまり注意が払って使われていません。
❤︎ 鳩の巣原理
先生「この学校の生徒数は約400人です。
そこで、1年は365日か366日なので、
この学校のある2人の生徒は誕生日が同じですね。」
生徒「だったら、私と誰か同じ誕生日の子がいるんですね」
先生「ちがうよ。私と誰かが同じ誕生日ではなくて、ある誰かとある誰かが同じ誕生日です。ひょっとしたら、そのある誰かがあなたかもしれませんね」
このように「ある」の使い方を
理解することが大切です。
❤︎ある同じ日本人がいる
現在生きているある2人の日本人は、
誕生日の月と日、
生まれた時刻の時と分と秒
すべてが一致します。
実際、
一年は366通り、
時で24通り、
分で60通り、
秒で60通りあります。
それらに関するすべての場合の数は
366×24×60×60=31622400
この数は現在の日本の人口約1億2550万2000人より小さいので、全く同じ人はいますね。
❤︎方程式と恒等式の混同
方程式とは、たとえば
7x-4=3
のように、
xなどの文字になんらかの数を代入すると等号が成り立つ「ある数」を求めるものです。
この場合、方程式の解はx=1です。
一方、
恒等式とは、たとえば
7x-4x=3x
のように、
xなどの文字に「どんな数」を代入しても
等号が成立するものです。
これを混乱していることが多いようです。
❤︎よくある誤った計算
たとえば
方程式
(x-3)/7 = (x+5)/2
「両辺を14倍して」と書いて、
2(x-3) = 7(x+5)
と計算して答えを求めます。
ところが、
計算問題
(x-3)/7-(x+5)/2
「両辺を14倍して」と書いて、
2(x-3)-7(x+5)
という計算をしてしまいます。
これは、
正解の計算結果を14倍していることになり、
誤りです。
❤︎言葉の正確さとあいまいさ
「ある」数と「ある」数が等しい場合
「すべて」数を計算する場合……
言葉一つ一つをあいまいに扱わず、
正確に扱うように意識して読む必要があり、
これは大変重要なことだと思います。
❤︎「すべて」の否定
「すべての子どもはスマホをもっている」
の否定文は、
「すべての子どもはスマホをもっていない」
ではなく、
「ある子どもはスマホをもっていない」
です。
❤︎「ある」の否定
「ある子どもの身長は180cm以上である」
の否定文は、
「ある子どもの身長は180cm以上でない」
ではなく、
「すべての子どもの身長は180cm未満である」
❤︎まとめ。「すべて」と「ある」の言葉のあいまいさが数学でつまずく原因になる
英語のallとsomeを意識するように
「すべての〜」と「ある〜」について
いろいろな例を使って
その違いをしっかり浸透させることが
大切でです。
言葉をあいまいにしないことが、
数学のつまずきを防ぎ、
物事の正確な理解につながります。