自然体験で子どもの学力が伸びる

こんにちは、個別指導塾 学びスタジオの奥川悦弘です。
ご訪問いただきありがとうございます。
今回は自然体験について書きます。
∵脳の発達メカニズム
まず、脳の発達メカニズムについて説明します。
脳の発達は全体で同時に起こるものでなく、
部分的に起こっていきます。
脳のある領域は早い段階で発達し、
別の領域は遅れて発達するというように領域によって異なっています。
そして、脳は後から前に発達することがわかっています。

∵脳の発達が獲得しやすい能力のタイミング
このことを理解すると、
発達の段階に合わせてどのタイミングでどんなことをしてあげると脳の発達により効果が出やすいのかがわかります。
❶0歳から
感覚に関わる脳の領域が発達するため、
スキンシップなどで五感を刺激し、親子の愛着形成が大切になります。
❷1歳頃から
読み聞かせる脳の発達に効果を発揮します。
❸2歳頃から
自分と他者の区別ができてくるため知的好奇心がどんどん高まっていきます。
❹3~5歳頃から
運動や楽器で脳が成長します。
❺8~10歳頃から
言語能力が発達のピークを迎えます。
❻小学生~中学生
コミュニケーション能力が大きく発達します。
それぞれの適齢にいかに外界からの刺激を脳に与えて、
脳の働きを活性化させるかが重要になってきます。
∵脳に良い刺激を与え、働きを活性化させるには
脳の活性化には、人が生まれたときからつくられ始める「脳のネットワーク」が関係しています。
子どもの脳は、
とにかくたくさんの神経細胞を作っていきます。
そして、
実際によく使う神経細胞は太くなり、
あまり使わない神経細胞は壊され、
脳のネットワークが作られていきます。
この脳のネットワークの働きを活性化させるのが好奇心です。
大きな意味で、
ゲーム、スマホ、パソコンなどの有限なものに対して、
自然の豊かな環境は無限であり、
たとえば、
植物、動物、鉱物、気象は、
その奥深さが子どもを飽きさせず好奇心を引き出してくるます。
また、
子どもの脳を刺激するには好奇心だけでなく「五感」も重要です。
自然はその点、
両方を兼ね備えており、
鳥のさえずり、
川のせせらぎ、
甘い花の香、
集めた木の葉の緑色の違い、
拾い上げた石の手触りの違い、
風が樹木を揺する音、
日の光の温かさ……
あらゆるものが豊かに五感を刺激してくれますね。
∵知的好奇心が高いと学力がアップする
次に、
知的好奇心が高いと学力がアップすることについて説明します。
脳の中にある扁桃体と海馬が密接に関わっています。

扁桃体で受け取るいやな感情は、
海馬が「必要ない」と判断して記憶に残しません。
扁桃体で受け取る楽しい感情は、
海馬が「必要」と判断して記憶に残します。
だから、
知的好奇心を伸ばすと記憶力が上がります。
つまり、
知的好奇心が高いと学力が上がる理由は、
「好きなことや気になることこそ覚えられるから」というです。
暗記しなければいけないと嫌々やる勉強ほど覚えにくく、
「好きだ」「知りたい」という感情こそが、
記憶を定着しやすくしてくれるんですね。
更に、
知的好奇心が高いと、
様々なことに興味関心を持ち、
それが脳をより多く刺激することで、
神経細胞のネットワークの効率化を発達していきます。
∵知的好奇心を育むには「知識」と「体験」を積み重ねる
知的好奇心を育むために、
「バーチャルとリアルを結び付ける体験」が効果的です。
バーチャルというのは、
図鑑などで得られる「知識」のことです。
母国語の獲得のピークがくる1歳くらいから、
読み聞かせが有効になってきます。
図鑑やガイドブックなどをいっしょに読んで、
魚や虫、植物などの写真やイラストで、
知識を子どもに与えてください。
心理学で単純接触効果といいますが、
同じものを何度も何度も見せるとそれが好きになるという原理です。
そうしたら今度は、
自然の中に連れて行って、
リアルな体験をします。
図鑑で見た「モンキチョウ」の実物が、
目の前にあるという体験で、
「それ知ってる」「私にはわかる」という高揚感や満足感を得ることで、
子どもの知的好奇心のレベルが一気に上がります。
そのときのワクワク感や嬉しい、楽しい気持ち、
そんな感情がモチベーションとなって、
さらなる興味や疑問を持ち、
家に帰れって図鑑に戻ってさらにレベルの高い知識を求めていきます。
バーチャルとリアルをつなぐことで、
子どもは世界の広がりや奥深さを知り、
無限の学びへと進んでいきます。
この体験を繰り返すことで、
知的好奇心はどんどん育まれ、
学力も上がっていきます。
すばらしいことに、
自然の中には子どもの好奇心をくすぐり、
それを伸ばす素材が無限にあります。
「どうしてだろう、なんだろう、もっと知りたい」という知的好奇心が探求心を生み、
どっぷりとその世界やものごとにハマる体験につながる。
これは子どもの学力だけではなく、
自己肯定感などのメンタル面にも効果があるということも明らかになっています。
∵まとめ
自然は、
好奇心の素材を無限に与えてくれます。
図鑑で見たバーチャルな知識を
自然に触れ、その中でリアルに体験すると
子どもの心はワクワク高揚します。
そのワクワクした感情が
しっかりした記憶につながり、
知的好奇心を大きく膨らませます。
そして、
学力を無限に伸ばしていきます。