「集中力が続かない子」に

こんにちは、個別指導塾 学びスタジオの奥川悦弘です。
ご訪問いただきありがとうございます。
今回は、集中力について書きます。
∵モロー反射
原始反射は、
生まれたばかりの赤ちゃんが生き延びるために必要なもので、
成長にともなって消えていきます。
中でも「モロー反射」は、
すべての原始反射のベースになっている反射です。
赤ちゃんは、
まわりで大きな音がしたときなどにビクッとして、
両手を広げて抱きつくような動きをします。
これがモロー反射です。
この反射は脳幹の中の「中脳」が影響しているといわれており、
目や耳からの情報に反応しています。
だから、
大きな音や光に反応するのです。
生後4カ月頃に消失するといわれています。
モロー反射は、
音、光、痛みなどの感覚刺激によって誘発されることが多いため、
突然の物音や光、
視野に急に動くものが見えること、
また、
痛みやにおいなどにも敏感になります。
これらのものに反応してしまうのは、
臆病や怖がりだからではなく、
ただの反射です。
目や耳などからくる情報を過剰に受け止めてしまうため、
集中力が低下しやすくなります。
たとえば授業中に友だちがちょっと動いただけでも気になって、
先生のほうを見ることができなかったり、
話を聞くことができなくなったりすることもあります。
モロー反射が残っている子は、
このような感覚からの刺激に敏感なため、
常にストレスにさらされ続けている状態になり、
に不安になりやすい傾向があります。
そのため、
何か新しいことに挑戦しようとしても怖がったり、
緊張したりしてしまうこともあります。
∵モロー反応が残っている場合の対策
モロー反射が残っている場合は、
モロー反射で赤ちゃんがするような動きをあえて行うことや、
ちょっとだけ“怖い”と感じる動きをすることが改善につながります。
たとえば、
赤ちゃんの動きのように、
あおむけに寝た姿勢から大の字に体を広げ、
続いて両手両足を抱えるように小さく丸まるのを繰り返す運動をします。
また、
ちょっと怖いと感じる、
膝を抱えて座った状態(体育座り)で後ろに倒れたり、
戻ったりを繰り返す「ゆりかご」のような運動をします。
また、次のような運動やトレーニングを行います。
❶バランス感覚を養う運動
トランポリン、バランスボールを使った運動、不安定な場所を歩く...
❷身体を大きく使う運動
内股歩き、外股(ガニ股)歩きの運動...
❸ビジョントレーニング
眼球運動、両眼視機能、視空間認知を改善するトレーニング
∵緊張しやすい子、怖がりの子
モロー反射が残っている子は、
環境の変化に弱いものです。
新しい環境では常に「何が起こるかわからない」といった不安や恐怖がベースにあります。
暗闇が怖いのも、
トイレやお風呂に一人で入れないのも、
同じ理由です。
泣いてしまう子どもの理由は大きく2つあります。
1つは、
お母さんなどと離れてしまうこと。
いわゆる母子分離不安です。
もう1つの理由は、
「痛み」です。
モロー反射が残っている子どもは、
感覚過敏になるため、
痛覚が鋭いことが多く、
ちょっと当たっただけでも過剰に反応して「痛い」と泣いてしまうことがあります。
緊張感が強いと痛覚も鋭くなります。
それだけでなく、
実際は痛くなくても「痛み」の記憶があれば、
それだけで痛みを感じてしまいます。
触っていないのに「痛い」という子どももいます。
ですから、
緊張しやすく怖がりで泣き虫な子どもを叱ったり、
我慢を強いたりしてもあまり意味はありません。
それよりも 「何があっても大丈夫」という安心感の中で、
モロー反射をとる動きをしましょう。
∵癇癪をおこす子
癇癪といってもいろいろなケースがあります。
嫌なことがあったとき、
思い通りにならないときに癇癪を起こす子どももいますが、
むしろ幼稚園・学校ではいわゆる“いい子”なのに、
家ではすぐに癇癪を起こすという子どももいます。
家で癇癪を起こしてしまうのは、
それだけ学校など外で緊張しているからです。
子ども自身、
外では精いっぱい頑張って頑張って、
我慢してストレスがたまり、
安心できる家で癇癪となって爆発してしまうのでしょう。
私たちが命の危険を感じたときにとる行動は、
「戦う(fight)」「逃げる(flight)」「固まる(freeze)」のどれかで、
これは脳幹が担っています。
癇癪は、
まさに「戦い(fight)」なのです。
子どもなりの危険に対する反応が癇癪だとすれば、
安心させてあげるしかありません。
それをしないで、
お母さんやお父さんが「なんですぐに怒るの!」などと責めてしまったら、
安心するどころか敵対してしまいます。
「ここは安心な場所だよ」「私を信じていいよ」という姿勢を、
癇癪を起こしていない毎日の生活の中で示していくことです。
日常生活の中でそういう接し方、
あり方を見せていきましょう。
その上で、
“思い通りにできない”でためているストレスを、
体を動かすことによって発散させ、
原始反射(とくにモロー反射)をととのえていく、
体を広げたり、
後ろに倒れたりする動きをしていきましょう。
いくら後ろに支えてくれる人がいても、
大人だって後ろに倒れるのは怖いです。
この「後ろに倒れるのが怖い」という気持ちと、
新しい環境や人とのかかわりにストレスを感じやすいことは、
とても関係が深いのです。
この動きを繰り返すことで、
ストレスに強くなっていきましょう。
∵集中力が続かない子、落ち着きがない子
飽(あ)きっぽい、
じっと座っていられずに、
すぐに動き始めてしまう、
気が散って集中力が続かない……
就学前まではそれでもなんとか過ごしてきたけれど、
学習が始まる小学校以降はとくに集中力が続かないと困ります。
集中力が必要なのは、
授業中など勉強だけではありません。
私たちは生活の中で、
何をするにもある程度の集中力が必要です。
集中力が続かない理由もさまざまあります。
とくにモロー反射が残っていて感覚過敏がある子どもは、
光や音、におい、触った感覚など、すべてに敏感です。
普通なら何も気にならないような太陽の光や友だちの声などが、気になって集中できなくなってしまうこともあります。
だから、
感覚を刺激しないように、
壁の張り紙は最低限にしたり、
できるだけ配慮してあげましょう。
注意力や集中力が欠けやすい子には、
あおむけになってボールをつかむ遊びがおすすめです。
体を開くことでモロー反射がとれやすく、
ボールがあることによって、
その動作に集中しやすくなる効果が期待できます。
また、落ち着きがなく、部屋を走り回ってしまう子も多いです。
思いっきり走らせて発散させてあげることはとても大事なのですが、
こういう子どもは交感神経が高まっていて「興奮モード」になっていることが原因の1つです。
交感神経が優位になっているということは、
常に緊張している状態であるともいえ、
これもモロー反射が背景にあります。
こんなときは、
副交感神経を高めてリラックスさせてあげることでバランスをとる動きをしましょう。
体を広げる「背面飛行機」は子どもたちが大好きな運動で、
副交感神経を優位にします。

∵まとめ
集中力が続かない子どもは、
感覚が過敏で、
周りのちょっとした刺激に反応してしまいます。
これは、
生まれた時に持っている生存本能で、
まわりの変化に危険を察知するモロー反射が、
まだ残っているからです。
ちょっと”怖い”と感じる動きを繰り返えすことで、
モロー反応が治まってきます。